Vol.16 益子 里山の工房で土を練り、轆轤を回す



栃木県の益子町。益子焼で有名です。
関東の焼き物だと益子と笠間が双璧でしょうか?
その益子焼きを、粘土作りから体験させてもらいました。
轆轤(ろくろ)を回す体験はあっても、

粘土から作る機会って、貴重です。


夏至の日に

2017.6.21
大竹一平

益子で焼き物を作り、酒を飲む


  縁っておもしろいですよね。
  前にも書きましたが、たとえ個人でも、こうやって伝統工芸の周りをウロウロしていると、少しずつ縁が広がってきます。その中で1年ちょっと前、同じように伝統工芸に興味を持つ長根さんという若い女性と知り合いました。

  初めてお会いした時も着物姿でいらしたように着物好きで、日本の伝統工芸に興味があると。直接会う機会はあまりないのですが、SNSを通して「アクティブだし、芯のある人だなあ」と、勝手に関心していたんです。


  その長根さんが、突如「益子の魅力を味わい尽くすツアー」を企画しました。「きびだんご」というクラウドファウンディングで広く参加者を募るワンデイツアーだと。「お?」と思って詳細を見ると、益子焼きの工房で土を作り、轆轤を回し、夕方は地元の料理屋で益子の食材を使った料理とお酒で締めると。

  かなり充実していて、いかにも楽しそうです。見ていくうちに「おー!」と思いましたね。たくさんの人の協力がなければ実現できない企画で、そのハンパない行動力に。
  すごいなあと思いつつ、参加を申し込みました。


 

小学生だったから


  というわけで、益子です。
  益子は小学生の時に親に連れられ、焼き物市に行ったっきりでした。ここ最近も一度は行こうと思いつつ、なかなか足を運んでいなかった場所の1つです。その小学生の頃に残った印象としては、とにかく人がたくさんいたなあと。焼き物市の時だから当然でしょう。そして正直、焼き物より焼肉に夢中だった少年(僕です)にとっては、「皿より肉だよな」と思いながら歩いていたのを覚えています。

  いま行ったらどうなんだろう?
  まさか「肉だよな」とは思わない、はずだけど……。

  さて。
  益子は栃木県です。電車なら栃木の小山と茨城の笠間を結ぶJR水戸線に乗って下館に出て、そこから第3セクターの真岡鐵道(週末はSLも走ってます)に乗り換えて40分から50分。都内からなんだかんだで3時間コースです。または都内からなら乗り換えの手間がない高速バスもあって、秋葉原から2時間半。


週末はSLも走る真岡鐵道  Photo by siostagram
週末はSLも走る真岡鐵道 Photo by siostagram


  どうやって行くかなあ、と思いましたね。

  集合は土曜日の昼12時半、終わりは夕食もあるので19時の予定。長根さんの話だと、体験でお世話になる工房がゲストハウスもやっているので、そこに泊まることもできると。

  じゃあここは1泊だろう。お酒も飲むし、飲んだ後、益子を20時に出て帰るのもちょっとアレだし。それに1泊すれば次の日曜は丸1日使えるし、じゃあ久しぶりにドライブするか、と。


  いま車は一応持っているのですが、自宅のある練馬では近所の駐車場代の高さに腰が引けて実家に置きっ放しです。その実家があるのは埼玉で、家から益子に向かう道すがらに“車庫”があるわけです。

  よし、土曜は益子焼と益子の酒に溺れ、日曜はドライブしよう。宇都宮から日光、金精峠を越えて丸沼高原を抜け、沼田に至る国道は、個人的には日本のトップ5に入るドライブルートだと思うし。


益子の翌日に寄った丸沼高原スキー場
益子の翌日に寄った丸沼高原スキー場

 

いいところだなあ


  土曜の朝、いつも仕事に行くのと同じ時間の西武線に乗り、実家を経由して車を拾って益子へ。益子ってどんな町だったっけなあ、などと考えながら、のどかな道をテレテレとドライブするのは気持ちいいもんです。しかもこの日は6月も二週目で、もう関東も梅雨入りしていましたが、快晴。ちょっと暑いけど、気分は晴れやかです。
  
  地図を見ると、益子があるのは関東平野がちょうど終わるあたり。行って見るとまさに田んぼが終わって山が始まる里山の町で、この山はデコボコしながらずっと青森まで続いていくわけです。

  今回お世話になる川尻製陶所があるのは、その山をほんのちょっと入った丘の上。工房のすぐ横からは益子の町がスコンと一望できます。
  木の葉が風に揺れる音と鳥の声。生まれたばかりの空気と自然の音で満たされ、いるだけで優しい気持ちになってきます。あぁ、これはあれだ、昔テレビで見た『まんが日本昔ばなし』の世界だ。


川尻製陶所からの益子町
川尻製陶所からの益子町


  実は間違って林道へどんどん入って行ってしまったりで、約束の時間に10分以上遅れて到着しました。遅れてすみませんと言いつつ合流します。

  参加者は自分を含めて3名で、こういう企画に集まる人なら(きっと)悪い人はいないはずです。もちろん、遅れたのは反省してますけどね。


例えれば100%ピュア益子焼


  指導していただくのは、川尻製陶所の川尻琢也さん。父親の代から益子で陶芸をやっていて、小さい頃からものづくりに興味を持った琢也さんも、自然と陶芸の作り手になったと。今では益子の土を使い、登り窯を使って作品を作っているそうです。訥々と話す穏やかな物腰、広い視野を持っていそうな目、いい職人さんに共通するナニカを感じます。


  粘土作りに入る前に登り窯を見せていただきました。登り窯で焼く時は大量の燃料、薪などの木が必要です。そこでおもしろいなと思ったのが、川尻さんは木造家屋などの廃材を買い、燃料として使っているそう。

  地元の土から出来た粘土で、廃材となった木を燃料に、益子出身の川尻さんが焼く。実際に廃材はすべて益子産とはいかないでしょうが、100%ピュア益子焼と言いたくなります。土や廃材を運ぶのに自動車は使うでしょうが、化石燃料をほぼ使わずに作品が生まれるわけです。


  日本各地に伝統工芸はありますが、ここまで地元にこだわる職人も珍しいし、ここまで地場の素材で作られる伝統工芸品も、今の時代となっては実は貴重です。


土と石で作られる登り窯

 

益子の土は白かった


  今回、「益子に焼き物をしに行くんだあ」と少ない知り合いに言って伝えたところ、ほとんどが「益子焼、好きなんですよねえ」という反応でした。「あのゴツゴツした感じが素朴でいいですよねえ」という声が多かったです。「焼き物より焼肉がいいよねえ」と言った人はゼロでした(例え思っても、言わないか……)。

  ただ、1人だけいました。印象に残った言葉をくれた人が。

  「益子って、土が黒いんですよね」

  確かに。益子焼って黒とか、どっしり濃い色が多いイメージがあります。でも、土も黒いんだろうか?

  粘土作りに入ります。
  始まりは石というか土の塊を砕く作業でした。土の塊は黄色が強めのクリーム色。
  そう、益子の土は黒でなく、むしろ白いんです。

 「益子焼って黒っぽいものが多い印象なんですけど、土は白いんですね」
  「たしかに黒い色の土は多いです。でも、それだけではなくて、白や赤、黄色、ピンク、緑と、いろいろな種類の土があります。原土を見ていると、ほんとに綺麗なんです」

  原土は綺麗。ここの土を知り尽くした人でないと、出ない言葉だよなあ。そしてそう聞くと、今日この土との出会いも、一期一会です。

  「じゃあ一概に、益子の特徴として土は黒いとは言えないんですね」
  「そうですね。それよりも、益子の土は砂分が多いという事の方が、目立った特徴かと思います。いろんな土があるけど、砂が多い。粘土分が少ないから、二流の土と言われる時もあります。けれど、そんな土でも見方を変えれば、それを逆に特徴にもできると自分は思うんです」

  うーん。たしかにそうですよね。違うから特徴にもできる。そういう発想が、プロだよなあ。それにしても、二流の土って……。

  たくさんある益子の土から、この日選ばれた白い土。その塊は手で握ってボロボロと崩れるほどには脆くないのですが、最初は木槌で、次に木製の杵でゴツゴツとついていくと、気持ちよく砕けていきます。
  ヨイショヨイショと杵を振りつつ、この作業がなかなか気持ちいい。

  「塊、こんな簡単に崩れるもんなんですね」
  「そうですね。これも益子の土の特徴です」
  「職人さんは毎回粘土を自分で作るもんなんですか?」
  「自分で土を採りに行き、粘土を作ることもありますが、組合に粘土がストックしてあるので、そこで買うことも多いです。益子に限らず、粘土は川の近くなどあちこちで採れるので、今やってる作り方を覚えるとあちこちの土から焼き物を作ることができますよ」

  へー。その辺の土をどんどん掘って焼き物を作れたら、それはそれで楽しいでしょうね。

  杵でついて次々と粉々になった土をフルイにかけると、きな粉のような細かいパウダーができました。「おいしそう」という声も聞こえてきます。触ってみるとサラサラのフワフワ。さっきまでのゴツゴツしていた土の塊から、こんな見事なパウダーが出来るんだ。

  水を混ぜ、練っていくと粘土になります。この水を足していくのも、川尻さんは慎重でした。水の量が多すぎても少なすぎても、轆轤で形を作るのが難しくなると。水を足して練って、「もう少し足したほうがいいかな」と、また水を加えて。特に今日は轆轤体験3人分の粘土を作ることで、いつも自分の分だけ作るのとはだいぶ勝手が違うんでしょう。

これから益子焼きになる土
これから益子焼きになる土

 

  さっきまでパフパフだったパウダーは、水を入れて練るとどっしりと存在感ある白い塊になっていきます。腕と指先に力を入れてグッグッと練るほどに粘りが強まり、重みと手応えが強まってきます。強い粘土になるように、できるだけ空気が入らないように。「粘土っていうより、うどんの生地みたいだね」なんて声も聞こえてきました。

  「これで、いいかな」

  川尻さんが最後に素早く手際よくクルクルとこねてまとめ、納得して、粘土が完成しました。
  大人の土遊びというか、泥遊び、これがなんとも楽しかった。いや、文字で書くと“愉しかった”のほうが近いかもしれない。砕ける土だけを見て杵を振り、土の様子を見ながら水を加え、その重みを感じながら練る。ただそれだけに集中する。

  山の空気のなか行うこの作業は、心の底から愉しかった。正直、個人的には粘土が完成した段階で、やりきった感を得てしまっていたり。焼き物職人より、粘土職人のほうが向いてるのか?

  どっしりとした粘土の塊。ただ、すぐに轆轤に入るのかと思ったら、そうではないそうです。
  「少し寝かせたほうが、粘りが出ます。その間、少し休憩しましょうか」

  工房に入って、出していただいたお茶を飲みながら、しばし休憩。
  なんというか、粘土を作ったことで、自分の中の準備がだいぶ整った気がします。工房に着いたばかりはこれから始まる体験に対して気負いがあるし、緊張の度合いも高い状態です。

  でも轆轤を回す前に参加者みんなで土をいじり、粘土を作った今は、ほどよく肩と全身、そして心の力が抜けているようです。初対面の参加者同士の距離も少し縮まるし、そしてなにより、これから轆轤にのせる粘土に対して、とても親しみが持てます。大事にしようと思います。粘土作りから始める陶芸、やっぱ一味違いますね。


土を砕き、ふるい、水と混ぜてよく練る

Photo by siostagram

 

最後に川尻さんがまとめ、粘土完成!

(と思ったら、この後少し水を足して練り足し)

 

我が人生のような


 静かな工房で風の音を聞きながらお茶をいただいたり、足の力で回す「蹴り轆轤」に座らせてもらったりしているうちに、粘土がほどよく熟成されていきます。


  「では、そろそろやってみましょうか」

  川尻さんの一声で、いよいよ轆轤です。体験で使うのは電動轆轤。粘土作りである程度“なんちゃって職人”と化し、気持ちの準備も整っている我々3人はただ静かに頷き、若干の風格さえ漂わせつつ轆轤へ向かいます。

  とはいえ、やはり轆轤にのった粘土を前にすると素人で、「うわー、できるかなー」とか、あっという間に緊張し、狼狽するわけですが。

  轆轤で難しいのは、実は最初の部分だそうで、そこは川尻さんの手を借ります。粘土を轆轤の真ん中に置き、馴染ませながら水で濡らした両手で土を引き上げ、押し下げる。そもそも粘土を轆轤のしっかり真ん中に置かないといけないだろうし、粘土と轆轤がある程度しっかり密着してくれないと、回す勢いで粘土の位置が動いてしまいそうです。
  この粘土を引き上げ押し下げる動きが、いわゆるザ・陶芸なイメージです。すぐそばで見ていると粘土が生きているようで気持ちいい。ずっと見ていたいぐらい。


  「ではどうぞ」

  そう言われて、ついに土に触れます。両手に水をつけ、おそるおそる土に触れる。冷んやりした感触。両手に少し力を入れるとゆっくりと形が変わっていく独特の動感。もはや自分には目と手のひらだけしかありません。時間が止まります。


川尻製陶所の工房。蹴り轆轤が見える
川尻製陶所の工房。蹴り轆轤が見える


  さっきの休憩時間中に、工房の入り口にある売店に並ぶ川尻さんの作品を見て、その中から大きめの器を作ろうと思っていました。それをビールジョッキにしようと。土の状態から乾燥させた後に焼くと、焼き物の大きさが一回り以上縮むそうです。

  見本も大きいですが、それより大きく作らないと。棚からお借りして目の前に置き、チラチラとお手本にしながら轆轤を回します。

  しかし。
  やはり。
  難しい。

  そもそも、まず轆轤の回転に手と指がついていけなくて、粘土の山を崩しました。「うわ……」という叫びのような溜息のような声を聞きつけた川尻さんがすぐに修復してくれ、轆轤の回転スピードを少し下げて「このぐらいがいいですね」と。

  しかし、これさっきの蹴り轆轤だったら、きっと話にならないぞ。足で轆轤を回して、同時に手で土をいじるなんて。


  あらためて目と手のひらの人となります。そこで分かったのが、イメージに近い大きさにまで高さと大きさを上げることの難しさ。特に高さを上げるのが難しく、ある程度までは延ばせても、そこから先、もうひと伸びがいってくれない。

  指の長さの問題もあるでしょうが、それよりも心理的な怖さ。回転し続ける轆轤の上で、器の内と外に指をあて、その感覚で厚みを掴むのですが、分かるようで分からない。だからいきなり穴が開くんじゃないか、力を下手に入れすぎてまた崩れるんじゃないか、形が出来てくればくるほどそんな恐怖感が強くなります。そうなると、高さはそのままで間口だけがフワフワと広がっていく。同じところをグルグル回りながら、縦に進めず横に逃げ込んでいる状態です。


  おいおい。これじゃあ、オレの人生と一緒じゃないか……。


Photo by siostagram


  とにかく集中した時間が続きます。気がつくと土に触れている間は息を止めていました。少しずつですが、使い続ける腕と腰の辺りも重く怠くなってきます。轆轤、意外と全身運動だな。

  「でも上手ですよ。指の使い方がうまいと思います」

  そんなことを川尻さんに言われ、それを励みに土に向かいます。途中から深さを出すために木製のヘラのようなものも使いました。だいぶ慣れてきたとはいえ、やはりグシャっと来る怖さは常にあります。あ、また息が止まってた。

  なんとか形にすることができ、目標とした大きさと深さになってくれました。
  よし、いいだろう。川尻さんにも見てもらい、お手本の器と見比べながら「うん。いいですね」と言ってもらいました。
  「ふぅぅぅ~」息が抜けます。息と一緒に気持ちも抜けていきます。真っ白です。

  本来であれば、粘土の底に糸を通し、轆轤と器を切り離します。ただ、轆轤を回しながら両手に水をつけすぎ、少し粘土が柔らかくなってしまっていたので、少し乾かしてから外すことになりました。あとは乾燥させて、あの登り窯で焼くのを待つだけ。再び木の葉が風に揺れる音が耳に入ってきました。


スッキリ爽快


  粘土を作り始めてから2時間以上は経っていましたが、あっという間。1つのことにここまで没頭したのも久しぶりだし、集中の質と、頭の使う場所がいつもとまったく違います。いや、いつもそのぐらい頭を使えということなんでしょうが。ただ、その集中の質と深さのおかげでしょう、運動した後のような清々しさがあります。このスッキリ感、なんなんでしょう。


  いいなあ。陶芸。

  というわけで、ビールジョッキの焼き上がりも楽しみですが、この後のビールは絶対にウマいはずです。


  粘土作りと陶芸体験の後は、長根さんと参加者の皆さんで益子の町を歩き、「杣」(そま)という雰囲気のある和食屋さんで地元の野菜や肉を前に生ビールで乾杯し、栃木の日本酒をいただき、顔を紅くした状態で1日を終えました。


  町歩きの途中で栃木名物の夕立と雷にも遭いましたが、静かなギャラリーで雨の音をしばらく聞いているのもいい休日です。そう思わせる緩やかな雰囲気が益子にはあるし、なんてったってほら、気分はもはや土と自然に向き合う陶芸家ですから。セコセコなんてしませんよ。

  なんならいつも轆轤と土を持ち歩きたいぐらい。


大谷石や古典家具と焼き物、センスが絶妙な益子のギャラリー

 

杣でいただいた料理の、ほんの一部

Photo by siostagram

 

民芸モンダイ、再び


  実は、益子に来る裏テーマがもう1つありました。

  益子焼についてネット上で調べたところ、「民芸的な伝統工芸の益子焼」といった言葉をたびたび見かけたんです。


  伝統工芸と民芸の違いとはーー。


  去年、都幾川に行く前に生まれ、帰り際に一度は自分の中で近づきつつあった答え。それを身を以て感じられる機会かもしれないなあと。


  粘土作りからの焼き物体験をし、川尻さんの話を聞き、益子の町を歩いてギャラリーを眺めて、この日また1つのヒントに出逢いました。それは「自由さ」。

  益子焼自体、とても自由です。「益子で焼き物を作れば、益子焼」と言われるそうです。この大らかさが、もしかしたら「民芸的」と言われる由縁なのかもしれません。一方で、今回の川尻さんのように、職人さん一人ひとりは自分の焼き物を追及するためストイックにやっているわけです。大らかさとストイックさ。「益子焼」の括りが自由な分、職人の腕とセンスが試される場所のような気がします。


  だからこそ思ったのですが。

  益子焼、ちょっと値段が安すぎるんじゃないかなあ、とか。もちろん、だから手軽で身近で人気というのはあるでしょう。ただ少なくとも、ざっと見たところ、最近よく行く唐津焼の2/3から半額です。そして、唐津焼の仕事をしている方からは「九谷焼はやっぱり唐津に比べると高いから」といった話も聞きました。

  そこがブランド力と言えばそこまでですが。そこが伝統工芸と民芸的伝統工芸の差だとしたら、職人目線としてはちょっとなあ。とも思います。


  もちろん、答えを出すのはまだまだ尚早です。

  もっと各地でたくさんのものを見て、益子にももっと来て、もう少し文化自体にどっぷり浸からないと分からないことがまだまだあるでしょうから。


 と思っていたら、ある6月末の夜から翌朝にかけ、川尻製陶所の火入れ、あの登り窯の火入れを見学させてもらえることになりました。我がビアジョッキもそこで完成します。


  陶芸職人にとって、最後の仕上げの火入れ。

  そこに立ち会います。